フリーマーケットで買った300円の積木(2)

積木は、6月の街路樹が生い茂る国立のフリーマーケットで、たまたま通りすがりに手に入れたものだ。


「いくらですか?」
「もう直ぐ、閉店するから、2つで、300円でいいですよ」
「わぁ・・・、300円だって!!」
「やった!! 前から欲しかったんですよ」と私は財布から300円を取りだし、30代の女性店主にコインを手渡した。
「あすか、良かったね!!」
妻はそう言いながら、ベビーカーに乗っている娘の顔を嬉しそうに見た。


1年前に買った時の積木は、それ程汚れていず、鼻を近づけると僅かだがフレッシュな木の香りが残っていた。

1年の年月は早いもので、今ではフレッシュな木の香りは消えている。それと入れ替わるように、いつの間にか、1つ1つの積木の角が丸くなり、積木がしっとりと手に馴染むようになった。