フリーマーケットで買った300円の積木(3)

あすかは、積木で遊ぶことの面白さが分かるようになった。

今、娘が好きな積木遊びの一つが「積木の道」遊びである。

積木で畳の上に道を作り、その上を落ちないようにバランスを取りながら歩く遊びである。

その光景を初めて見た私は、すっかり私の記憶から抜け落ちていた50数年前の似たような光景を思い出した。私も娘と同じように畳の上に道を作って遊んでいたのだ。

私の道は、「積木の道」ではなく、「世界童話全集の道」であった。

それは私の生母がいつの日か私に読み聞かせようとして購入した1巻の厚さが5センチはある、ずっしりと重いシッカリと製本された全集であった。その全集は今でも実家の本棚の中に全巻がある。


「本は踏みつけるものではないのよ!!」
「大切にしなさい!!」
生母は、その光景を見て、怒り、
私は泣き出した。


私は、娘が自分で「積木の道」を作り、その上を歩く度に畳の上で滑る「積木の道」の一端を押さえながら、「世界童話全集の道」のことを思い出す。


生母は、当時としては高価であったであろう世界童話全集の何巻かを、二・三度読んでくれただけで、それ以後読んでくれることはなかった。


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