追伸 嘘をつく 2010.07.13

私が幼稚園にいっていた頃、友達の家に遊びに行って、

「あれ、○○ちゃんのうち、冷蔵庫、ないの?」とその友達の母親にむかって言ったらしい。
「○○ちゃんのうちは、あるの?」その母親が私に尋ねた。
「あるよ」私は答えた。

後日 その友達の家に遊びに行くと、
「○○ちゃんのお陰で、冷蔵庫を買えたのよ。ありがとう」
母親が私にむかって嬉しそうにそう言った。
「!!」
母親は私の手を引くように真新しい白い冷蔵庫の前に私を連れて行った。


それは私が遊びに行った晩、
「冷蔵庫、買ってよ。○○ちゃんの家にはあるのよ」
「○○ちゃんのうち、冷蔵庫ないの?と聞かれたのよ。ねぇ」
「とっても恥ずかしかった」
と帰宅した夫に言ったという。


その結果、念願だった冷蔵庫を買うことができたのだという。


その話を聞いた私は、顔が火照り、赤くなった。
「あるよ」と答えはしたが、「まっ赤な嘘」だったのである。

私としては、軽い嘘のつもりだったのだが。

この話は今から50年程前のことだが、今でも良く覚えている。


子供心にも、「言って良い嘘」と「言って悪い嘘」があるということを、身を持って知った苦しい思い出である。