子どもの発想力 2010.10.01
一週間程前、もう直ぐ3歳になる娘のあすかが、一人、部屋の中で黄色のオモチャのフライパンを手に、床に座って遊んでいた。
「何しているの、あすか?」
「お料理、作ってる」
「何、作っているの?」
「焼きそば」
「できた、焼きそば?」
「できたよ。食べる?」
「どれどれ、食べさせて」
そう言いながら私は、娘のあすかの傍らに座った。
あすかは、手に持っていたフライパンを私に差し出した。
「!!」
「アハハハハハ」
私は、そのフライパンの中を見て、思わず笑ってしまった。
何と、フランパンの中にグルグル巻きの焼きそばが、茶色のクレヨンで描かれていたのだ。
「あすか、書いたのか?」
「そう、焼きそば書いたの」
「美味そうだな。食べさせて」
「いいよ」
「美味い焼きそばだなぁ。美味い、美味い」
私は、あすかの描いたフライパンの焼きそばを、オモチャのフォークで口をモグモグさせながら食べた。
娘は、嬉しそうに私が食べる様子を見ていた。
「誰かに習ったのか? この焼きそばの作り方?」
「ううん」
「そうか、凄いな!!」
良く見ると娘の左手には、小さな茶色のクレヨンがシッカリと握られていた。
その晩、食事をしながら妻にその事を話した。
「凄いよね!! 子どもの発想力は!!」
「そうだよね!!」
妻は私の顔を見ながら嬉しそうに笑った。
娘のあすかは、私達の話にお構いなく、無心で枝豆を食べている。
子どもの発想力の凄さ!!
私と妻が知らなかっただけなのかも知れないが、私は今までフライパンに描かれた焼きそばを見た事がなかった。
私に、もし身近なもので『子ども用のオモチャのフライパンで、焼きそばを作る』というテーマが与えられたら、おそらく紐や毛糸などで焼きそばの麺を直ちに作るだろう。
おそらく大方の大人は、私と同じ発想をし、大差のない焼きそばを作るに違いない。
紐はないか、毛糸はないか、あちこち捜し廻るかも知れない。
ところが、子どもは、何気なく近くにあったクレヨンを手に取ると、何のためらいもなく、グルグルグルと焼きそばの麺を描き、それで出来上がり!!
「はぁい、一丁、出来上がり」
ものの10秒もあれば、またもや
「はぁい、一丁、出来上がり」である。
私は、55歳。
娘は、あと一カ月で3歳。
歳を取る、という事は、より強固な、唯我独尊の固定観念の世界の住人に、本人の気付かぬうちになる、という事。
発想が貧弱で、今まで自分が生きて、使用し続けた安易な発想法から抜け出せられなくなっている、という事。
であるという事が如実に分かった。
発想法を変える。
水平発想・垂直発想・切り貼り発想。
何でも良いのだが、生まれて数年しか経っていない、幼児、子どもの発想力の凄さを、私は知った。
新しい発見や発想は、誰でも知っている常識の枠外の直ぐ傍にある。
リンゴが木から落ちるように、ごく自然な、何気ないところに転がっている。
そう思えた。
娘に感謝!!!
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